退職金
(退職金の支給) 第@@条 勤続 年以上の労働者が退職し又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、自己都合による退職者で、勤続 年未満の者には退職金を支給しない。また、懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。 2 継続雇用制度の対象者については、定年時に退職金を支給することとし、その後の再雇用については退職金を支給しない。 (退職金の額) |
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※厚生労働省モデル就業規則より
退職金に関する規程です。
時々労働者の方からいただくご相談として、
「うちの会社、退職金がないんです。違法ですよね!」
というものがありますが、どうなのでしょうか?
退職金がないのは違法?
退職金については、法律上支給が義務づけられているものではありません。
よって、支給するかしないか、支給するとしたら、どんな条件で、いくら、
ということまで含めて、すべて会社独自にまかされているということになります。
ただし、定めてある場合には、支給義務が発生します。すなわち、定めてあるのに払わない場合は、賃金不払いと同様、指導対象になるということです。
また、一度定めたら、なくすのは困難です。
就業規則は、従業員にとって不利益となる変更は、会社の一存ではできないからです。
従業員のことを想う会社ほど、設立当初から、退職金制度を検討される事業主さんもいらっしゃいます。しかし、一度導入したら、支給率を下げることや廃止することは、非常に難しいと考えてください。
退職金制度を導入する場合は、他社状況ばかりを気にするのではなく、これらを考慮して、支給時期、支給率等、会社の現実的な体力と理念に合わせた設計を行う必要があります。
懲戒解雇なら退職金を払わなくてよいのか
退職金の規程には「懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しない」と定めてあることが多いですが、このように定めたからといって、必ずしも退職金を払わなくてよいというわけではないことにも注意が必要です。
日本においては、退職金は「賃金の後払い」としての性格を持つという考え方があります。
(本来は毎月払われる分が一時会社に預けられており、退職時にまとめてもらうもの)
その退職金を払わないというのは、それが、その労働者の長年の勤続や会社への貢献を打ち消してしまうほどの重大な行為があることが必要である、とする裁判例があります。(小田急電鉄事件)
就業規則の退職金の規程としては、懲戒の場合は退職金不支給または減額の旨はいれておくべきですが、必ずしも、機械的に不支給にできるとは限らない旨、注意する必要があります。
退職金導入の財源確保はどうしたらよい?
退職金は、一時的に大きな支払いが発生するものですから、当然に、その財源を確保しておく必要があります。その代表的な手段としては、
・中小企業退職金共済を活用する
・民間の保険を活用する
・その他
等があります。
それぞれ、受取人、税金のかかり方等が変わってきますので、専門家に相談されるのがよいでしょう。office roleでは、退職金の設計にかかるご相談や、財源確保の専門家の紹介も行っておりますので、お気軽にご相談ください。