育児介護に関する法律は目まぐるしく変化しています。特に2025年(令和7年)は、新たな給付金が創設されるなど、会社・社員の双方にとって把握しておくべき制度変更が多くありました。
今回はそのうちの1つ、「育児時短就業給付金」についてわかりやすく解説します。
結論として、育児時短就業給付金とは、2歳未満の子を育てながら時短勤務をしている労働者が、賃金が下がった分の一部として国から給付を受けられる制度です。給付率は時短中の賃金の原則10%で、2025年4月から支給が始まっています。
育児時短就業給付金とは何か
簡単に言うと、「育児のために時短勤務して賃金が下がった場合に、国から給付金をもらうことができる」制度です。給付金を受け取るのは会社ではなく、時短勤務をしている従業員本人です。
育児休業給付金との違い
・育児休業給付金:育児休業中(仕事を休んでいる期間)に支給。給付率は原則として休業開始から180日間は67%(一定条件を満たす場合、開始28日間は80%)、以降は50%
・育児時短就業給付金:育休から復職後、時短勤務をしながら働いている期間に支給。給付率は時短中の賃金の原則10%
対象者の要件は何か
・雇用保険の被保険者であること
・2歳未満の子を養育するために時短勤務をしていること
・育休から引き続き時短勤務になったこと、または時短開始前2年間の間に12か月以上雇用保険に加入していること(11日以上勤務している月を1か月と数える)
注意事項:
・2025年4月より前から時短勤務を行っている人は、2025年4月1日を時短勤務を開始した日とみなして対象となります
・「育児時短制度」の適用を受け、所定労働時間が短縮されていることが必要です。遅刻早退等が増えて結果的に労働時間が短くなった場合は対象外となります
・フレックス・変形労働時間制・シフト制などの場合は特殊な取り扱いがありますのでご相談ください
いくらもらえるか
給付率と計算例
給付額は原則として「時短中の賃金の10%」です。
例えば、時短勤務によって月給が30万円から24万円に下がった場合、24万円の10%にあたる2万4千円が支給されます。
ただし、時短開始時の賃金を超えないように調整されます。また条件によって金額が変動します。
支給対象外となる場合
- 支払対象となる月に支払われた賃金額が、時短に入る前の賃金水準と比べて低下していないとき(月額で比較)
- 支払対象となる月に支払われた賃金額が上限額以上、または下限額以下の場合
なお、月によって支給対象になる月とならない月が混在する可能性があります。例えば時短中に昇給があっても、欠勤控除が大きくなって賃金水準が下がる月については支給対象となります。
支給を受けることができる期間はいつまでか
支給開始は時短勤務を始めた月から。終了のタイミングは以下のいずれか早い時点です。
・子の2歳誕生日の前々日
・別の子の産休・育休に入る日の前日
・介護休業に入る場合はその開始日の前日
・別の子の育児時短勤務を開始した場合はその前日
・子の養育をしないことになった日(子の死亡等)
図にすると以下のようなイメージです。

給付対象となる月の条件:
・月の初日〜末日までずっと雇用保険の被保険者である月
・週の所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
・初日〜末日まで続けて育児休業給付または介護休業給付を受給していない月
・高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月
※厚生労働省リーフレットより
2025年4月以前から時短勤務を行っている方の注意事項
2025年4月以前から時短勤務を行っている人は2025年4月1日を時短開始日とみなして対象となりますが、「時短前から賃金水準が下がっているかどうか」の判断を慎重に行う必要があります。
この場合の「時短前の賃金水準」とは、以下の2つのうち金額の高い方となります。
- 2025年3月以前の6か月の賃金から計算される賃金月額
- 以前に育児休業を取得している場合は、その際に決定された休業開始時賃金月額の7割
現在の賃金水準が「時短前の賃金水準より下がっているかどうか」の試算は判断が非常に難しく、正直なところ「ハローワークに出してみないと判断が難しい」という状況です。会社としてはそれでも申請するかどうかの判断を求められることになります。
手続きはどうすればよいか
ハローワークに申請手続きを行います(原則2か月に1度)。申請は初回の申請対象となる月から4か月以内が原則ですが、それを過ぎていても申請は可能です(最大2年間)。
最近の出産や育児に関する手続きは非常に複雑になっており、例外や経過措置などが複雑に絡み合っています。条件の確認や手続きは社会保険労務士に依頼されることをお勧めします。
お問い合わせはこちらから。
手続きをご希望の方
この複雑な育児時短就業給付金についての申請代行を承ります。
報酬は以下となります。
①顧問先のお客様の場合(総合顧問、相談顧問どちらの場合も)
| 申請タイミング | 報酬 |
| 時短開始時賃金登録 | 11,000円 |
| 支給申請(2ヶ月毎) | 5,500円 |
②顧問先以外のお客様(その都度スポットのご依頼)
| 申請タイミング | 報酬 |
| 時短開始時賃金登録 | 33,000円 |
| 支給申請(2ヶ月毎) | 11,000円 |
※初回は、過去12か月分程度の出勤簿、賃金台帳の精査等が必要となるため費用が高くなっています。
※申請の結果、支給対象外、または著しく低額になる場合もありますが、返金はできませんのでご了承ください。
※申請前の受給可能性の判定はできないものとなります。ご理解いただけますと幸いです。
お問い合わせはこちらから。
よくある質問(FAQ)
Q.パートタイム労働者でも育児時短就業給付金はもらえますか?
A.雇用保険の被保険者であれば対象となります。週20時間以上・31日以上の雇用見込みがあって雇用保険に加入していれば対象となり得ます。
Q.育児休業給付金と育児時短就業給付金を同時に受け取ることはできますか?
A.できません。育休から復職して時短勤務に入った後、育児時短就業給付金の対象となります。
Q.2025年4月以前から時短勤務をしていますが、対象になりますか?
A.2025年4月1日を時短開始日とみなして対象となります。ただし「時短前の賃金水準より下がっているかどうか」の判断が複雑なため、社会保険労務士に相談した上で申請されることをお勧めします。
Q.申請はいつまでにすればよいですか?
A.初回の申請対象月から4か月以内が原則ですが、最大2年間は申請可能です。早めの申請をお勧めします。
参考
ご参考までに、以下ハローワークのリーフレットとなります。



