ストレスチェック、対応はお済みですか?
ストレスチェックの導入で、はじめにしなければならないのは、体制の構築です。
こちらです↓。
図にするとたった1行に見えますが、とても重要です。
具体的には、適切な担当者の選定、及び衛生委員会が機能する仕組みを構築することです。
まずは、事業主が方針を表明して、衛生委員会で、ストレスチェックの実施方法について審議しなければなりません。
審議事項はこちらです↓
※厚労省「ストレスチェック制度簡単マニュアル」より
よく見ると、ストレスチェックの実施フローの下半分については、そのやり方について衛生委員会で話し合わなければならない内容とされていることが分かります。
ストレスチェックの導入において、形式だけでない、本当に機能する体制の構築は非常に重要な意味を持ちます。
なぜかというと・・・・
ストレスチェックは受検義務がない
ちょっと考えてみましょう。
ストレスチェック、どんな人が受診すると思いますか?
今回のストレスチェック、従業員には受検義務がありません。その先の面談も義務ではありません。
という状態で、ストレスチェックを受けようとするのがどんな層かと考えると
・自分のメンタル状態に関心が高い人 または
・現在のメンタル状態に不安があり、かつ会社にそれを伝えたいと思っている人
の率が高くなるという予想が立ちます。
自分のメンタル状態に関心がない人や、不安はあるんだけれども会社には知られたくない、という人は、そもそも会社で受診しなくていいわけですから。
労働基準監督署でも、パワハラによる心身不調のご相談は非常に多かったです。でも皆さん、会社の相談窓口が分からず、対処法も分からないといって、ご相談にやってくるんですね。
そういった方々にとっては、ストレスチェックの結果にて「高ストレスです」と会社に伝えるルートができるということになります。
さて、これがどんな影響を及ぼすのでしょうか。
ネガティブ意見が顕在化する
ストレスチェックの受検、面接指導が義務でないということは、少なくとも、会社にその状態を知られたくない従業員は申し出る必要がない。
逆に、日ごろから会社に対して不満を抱えており、その状態を「知ってほしい」従業員にとっては、
「パワハラ受けてるんです。なんとかしてください。 ほーら、こんなにストレス高いって出てますよね。」
「仕事のために家族とのコミュニケーションがとれずにストレスをかかえています。フレックスを導入してください。」
。。。等々、
ネガティブ意見を上げるためのルートと客観的材料が得られるということです。
もちろん、これらの声があがってくることそのものが悪いわけではありません。今まで見えなかっただけで問題そのものはそこにあったということですから。
結果に対応できる体制が必要
ただし、これらに対応できる体制がないことは非常にリスクが高いといえます。
人に対する対応を行うのには、複数の担当者の協力体制が必要です。社員、現場上司、人事、会社、産業医、場合によっては外部のカウンセラーや専門家。。。これらが連携できる仕組みは整っていますか?
人事担当者のみがひとりで抱えなければならない状態になっていませんか?
また、人事担当者にとっては、ネガティブ意見が入ってきやすい状態になります。それらはみんなの声を代弁しているかのように聞こえることもありますが(苦笑)、必ずしも会社全体の状態を反映しているものではないこともしばしばあります。
フレックスを導入したいという社員からの意見があがることはよくありますが、会社全体の調査を行ったら、実は望んでいる人の方が少数派だった、ということもあります。
それが本当に会社として対応が必要なことなのか、どのように対応するのか。
また、その人の状態が、個体要因によるものなのか、業務要因なのか。
これらを適切に判断して対応できるしくみが必要です。
それがないまま高ストレス者への対応を行おうとすることは、気をつけないと少数ネガティブ意見に振り回されてしまうだけということにもなりかねません。
ストレスチェックは、やりっぱなしではすまないのです。
具体的にやるべきこと
では、具体的には何をしたらいいかというと、最初にやるべきことは、優秀な産業医の確保と衛生委員会の整備です。
既にこれらが機能している場合は別ですが、もし、今の産業医の先生と信頼関係を築けていない状況だとしたら、衛生委員会が形だけ開催になってしまっているとしたら、これらが機能するようにしくみを育てるには、ある程度時間がかかるからです。また、人事担当者ひとりの力技ではどうにもならない性質のものだからです。
メンタル状態に適切な判断を行える産業医、会社と社員との協力関係をつなぐ衛生委員会の存在は、課題解決において大きな力を発揮します。
中途半端な「形だけ」導入や、「社員のため」「福利厚生」での導入には、大きなリスクをはらんでいます。導入初期の段階では、ぜひ体制整備に力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
また、どうしてもリスク面からのお話にはなりがちですが、ストレスチェックの導入を機に、衛生委員会の運営を見直していくことによって、課題解決やコンプライアンスだけじゃない、むしろ会社が大きく成長できる大きなチャンスにもなります。
具体的な構築や運用方法についてお悩みの方はご相談に応じますので、お気軽にどうぞ。
※資料の使用については厚労省の許可をとってあります。