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【欠勤控除】不就労時間の賃金は控除していいんです。計算方法は?

欠勤や不就労時間が発生した場合の取り扱いについて、多様な働き方の設計に携わるあなたはご存じでしょうか?

これまではあまり意識する必要がなかったという場合でも、

・在宅勤務における中抜け時間の取り扱い
・育児短時間勤務の取得による短時間勤務
・メンタルヘルス不調による欠勤
・新型コロナウイルスの影響による休業

など、労務トラブル対応や多様な働き方への対応が進むにつれ、人事担当の方におかれては改めて「勤務していない時間」の取り扱いについて考え直さなければならないことが増えてきているのではないでしょうか。

特にIT企業の人事担当者であれば「柔軟な働き方」の実現を求められることが多いですからなおさらでしょう。

これまでは遅刻や早退、欠勤について、そもそも正社員で月給の場合は給与を控除してはならないと思っていた、という声を聞くことも珍しくありません。しかし、ノーワークノーペイの原則といいまして、働いていない時間について賃金控除することはもちろん妨げられていません。

では、どのように欠勤控除を行えばよいのでしょうか?

実は、不就労・欠勤控除のやり方には法律上の定めがないのです。
だからこそ、会社ごとに決める必要があるのです。

あなたの会社では、遅刻、早退、欠勤といった不就労時間が発生した場合の計算方法について定められていますか?

欠勤控除

厚生労働省のモデル就業規則では、欠勤控除について次のように記載されています。

(欠勤等の扱い)
第@@条
1.欠勤、遅刻、早退及び私用外出については、基本給から当該日数又は時間分の賃金を控除する。
2.前項の場合、控除すべき賃金の1時間あたりの金額の計算は以下のとおりとする。
(1)月給の場合
基本給÷1か月平均所定労働時間数
(1か月平均所定労働時間数は割増賃金の算式により計算する。)
(2)日給の場合
基本給÷1日の所定労働時間数

※厚生労働省モデル就業規則より。

欠勤控除の単価は?

不就労・欠勤控除のやり方として、モデル就業規則では1ヶ月平均所定労働時間で時間単価を算出して計算するようにされていますが、このままだと不具合がおきることがあります。なぜなら、1ヶ月平均所定労働時間とその月の実所定労働時間が異なるからです。

たとえば、次のような場合を見てみましょう

1ヶ月平均所定労働時間 > その月の実所定労働時間 の場合

■月給160,000円
■1ヶ月平均所定労働時間:160時間
■その月の実所定労働時間:152時間
とした場合に、1月まるまる欠勤した場合

不就労・欠勤控除額は
(160,000 ÷ 160時間) × 152時間 = 152,000円

となります。

ということは、1日も出社していないのに、8,000円支給されてしまうことになります。

または別のケースを見てみましょう。

1ヶ月平均所定労働時間 < その月の実所定労働時間 の場合

■月給160,000円
■1ヶ月平均所定労働時間:160時間
■その月の実所定労働時間:168時間
とした場合に、20日(160時間)欠勤して1日(8時間)だけ出社した場合

不就労・欠勤控除額は
(160,000 ÷ 160時間) × 160時間 = 160,000円

となります。

ということは、1日出社しているのに給与が全額控除されることになってしまいますね。

では、このような問題を解決するにはどのようにしたよいのでしょうか?

対処方法1:10日前後で計算式を分ける(控除方式/加算方式)

・欠勤が9日以下の場合は控除額を控除
・欠勤が10日以上の場合は勤務した分を加算

というように計算式を分けるなどのやり方です。(10日でなくても会社で日数を定めて構いません)

メリットは、時給単価を固定できることと、先ほどの例のような問題が起きないこと、
デメリットは、欠勤日数が10日前後のあたりで、不均衡が生じてしまうこと、一定日数の前後で計算式を変えるため、給与計算システムに自動の計算式設定ができず、計算が面倒になること、です。

対処方法2:実所定労働時間で時給単価を算出する

欠勤控除の単価を算出する際に1ヶ月の平均所定労働時間でなく、1ヶ月の実所定労働日数を使用するやり方です。

メリットは、何日、何時間休んでもどのパターンでも対応可能です。給与計算システムで自動計算式を組める場合は、自動設定が可能、
デメリットは、その月毎に控除単価が変動することです。給与計算ソフトで自動計算させる設定が可能であれば問題にはなりませんが、それができない場合は計算が面倒になることです。

月毎に控除単価が変動することについて違和感があるとの意見もありますが、月給制であれば、月31日の月も28日の月も、休日が多い月も少ない月も月額固定なのですから、欠勤に限らずそもそも毎月時給単価は変動しているという考え方もあります。

どのやり方も特徴がありますので、給与計算ソフトの特徴、会社の事務の流れ、欠勤控除が発生する頻度等を勘案して、運用しやすいやり方を決めておくことが必要です。

手当の控除をどうするか?

控除単価の算出方法は規定されていたとしても、家族手当、役職手当などの取り扱いはきちんと決められていますか?

家族手当、役職手当の取り扱い

厚生労働省のモデル就業規則では、基本給については控除の記載がありますが、諸手当については何も記載されていません。

記載がなければ「満額払う」ということになりますが、それでもいいですか?

・仮に1日も出社しない月があっても満額支給しますか?
・1日も出社しない月は支給しないけれど、1日でも出社した月は満額支給しますか?
・出勤した日割で支給しますか?

家族手当は、働いたことに対して支給するものではなく、家族がいるということそのものに対して払う、という考えで、休もうが何しようが支給する、という考え方もあります。そういう意味では、その手当は何のために払うのか、という会社の哲学が問われることもあります。

しかし、支給額があると、休職中における傷病手当金の計算が厄介になるだけで、本人にはあまりメリットがないというケースも考えられます。

あまり深く考えす、純粋に日割するのが公平だとする考え方もあります。

通勤手当の取り扱い

また、通勤手当はどのようにしますか?

すでに定期券を購入してしまっている場合は控除できないとお考えの社長さん、人事担当の方もいらっしゃいますが、これも定め方によります。

・定期券で払っている場合に日割控除しますか?
・切符代で清算しますか?
・その他?

これらを決めておくことが必要になります。

不就労・欠勤控除は奥が深い

不就労時間や欠勤に対する賃金控除のやり方は「法に定めがない」からこそ、どれが正しいという答えはなく、会社の考え方や、給与計算システムの設定、事務作業フローまで考慮が必要となるものです。

しかも「法に定めがない」と言いながらも「控除しすぎはだめ」という厄介なものでもあります。
例えば1日しか休んでいないのに給与を半分以上減額すれば、それは当然問題になります(ここでは詳細ご説明は省略しますが)。

インターネットを検索すれば、様々なやり方がヒットするでしょう。

しかし「法に定めがないから自由に決めていいんだよ(決めなければならない、しかもコンプライアンス上問題ない範囲でね)。」なんて答えにまでどうやってたどり着いたらよいのでしょうか?

また、会社毎に決めるとしても、インターネット上のを情報を自分の会社に当てはめたときにうまくいくのかどうか、コンプライアンス上問題ないのか、そもそもこの情報は本当に正しいのか?という点においては判断に迷われることが多いのではないでしょうか。

このような「法に定めのない部分」について「自分の会社では」どのようにすべきか?の相談相手となるのが、社会保険労務士です。

さらに当事務所であれば、会社ポリシーはもちろんのこと人事担当者の事務作業効率化までを想定したアドバイスをさせていただくことも可能です。

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