「うちの会社は病気で休んだのに有給休暇を使わせてもらえないんです。これってブラックですよね?」
「突然欠勤した社員が、出社してから有給休暇を請求してきたが応じる必要があるのでしょうか?労働者の権利だから与えなければならないのでしょうか?」
というご相談を受けることがあります。
年次有給休暇の原則はこの2点です。
■労働者が請求した時季に与える必要があります。
■会社の側には断るという権利はありません。しかし、事業の正常な運営を妨げる場合には「時季を変更」することなら可能です。
しかしこの原則については、事後に請求された場合にまで応じる義務があるわけではありません。ですから、事後の請求については認めないことはできるのです。
では、当日の朝に有給休暇を申請してきた場合はどうでしょうか?これも、請求に応じないことは可能です。
なぜかというと下記の2点によります。
■当日の朝、ということは、すでにその日の0:00を過ぎているので、事前申請に該当しない
■百歩譲って、始業時刻前なら事前申請に該当するとしても、会社としては事業の正常な運営を妨げる場合、の判断をする時間が与えられていない
ただ、現実的には、病気の場合は、事前に具合が悪くなることが分かっている人はいませんので、必然的に当日連絡になります。ですから、病気等の場合は当日申請でも有給休暇として認める運用をしている会社が多いのではないかと思います。従業員のモチベーション管理上もその方が好ましいとも思います。
しかし、事後申請は従業員の当然の権利ではありません。
あくまで「有給休暇は事前申請が原則だけど、会社が認めた場合は事後申請でもOKとする場合もあるよ」
という考え方について、会社と従業員との間で就業規則等で共有しておくことが、トラブル防止のポイントとなります。
また、有給休暇は権利ではありますが、一方で従業員には業務を遂行する義務があります。休むのであればその分の業務には影響がないよう、または周囲の同僚に的確に引継ぎや情報共有をしておく等、日ごろからの教育が重要です。