テレワーク導入で労務管理上気をつけたい4つのポイント

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テレワーク導入で労務管理上気をつけたい4つのポイント

緊急事態宣言後、強制在宅勤務に対応せざるを得なくなったまま、継続的にテレワークを導入しようと検討されている会社も多いことかと思います。

テレワークのポイントは大きくわけると以下の4つです。

1.作業がテレワークに適していること
2.PC等の機材、ツールを整えること
3.制度を整えること(手当、労働時間制度など)
4.人間関係・信頼関係

1.業務がテレワークに適していること

テレワーク導入で労務管理上気をつけたい4つのポイント

まずは作業がテレワークに適している必要があります。
たとえば、押印が必要である、郵便のやり取りが必要である、特定の機械や設備を使わなければならない、などの場合はそもそもテレワークはできないことになります。

また、どちらかというと、アウトプットが見えやすい業務の方が向いていると言われます。
何故なら、見えないところで作業を行うため、評価が難しいからです。
しかしながら、アウトプットが見えにくい業務はできないということではありません。

3 や 4 などによってフォローしていくことになります。

2.PC等の機材、ツールを整えること

テレワーク導入で労務管理上気をつけたい4つのポイント

 

物理的に離れたところで作業を行うためには、当然ながら、作業環境が必要になります。
パソコンなどの用具の手配、場合によっては机、いす、ディスプレイ、プリンター、スキャナ、なども挙げられるでしょう。

しかしながら、日本の住宅環境においては必ずしも自宅で作業場所を十分に確保できる家ばかりとは限りません。
会社からディスプレイやスキャナーを支給されても置き場がなくて困る家もあるでしょう。

家庭を持つ家であれば、作業場所を確保することも難しく、リビングにノートパソコンを広げて作業するのが精いっぱいということも考えられます。夫婦で在宅勤務、ともなればなおさらです。

ひとり暮らしでワンルームの部屋に暮らしている場合なども、オフィス用の机やいすを設置するのは困難でしょうし、そうでなくても十分な作業用の機材を設置するのが難しい場合もあるでしょう。

ですから、原則在宅勤務を強要するばかりでなく、選択制にする、などの配慮が必要でしょう。

「お金で解決できること」ばかりではないことに注意が必要です。

3.制度を整えること(手当、労働時間制度など)

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在宅勤務に関する手当や、労働時間管理などについての制度を整えることです。

例えば、

・経費に関すること
経費の負担をどうするか、在宅勤務手当のようなものを払うのか、払う場合はいくらにするか。

・労働時間管理制度
在宅勤務であっても労働時間管理は必要です。
従業員の労働時間については労働安全衛生法上、客観的な手段で記録することが定められています。
法律上の定めでなくても、従業員の働きすぎ防止、等の観点からも記録は必要です。会社のリスク管理としても、無用な未払賃金請求などのリスクから会社を守るためにも、現実の労働時間の記録は重要です。

・人事評価制度
離れているからこそ、従業員の作業に対して客観的に評価できる仕組みが必要といえます。
しかし、テレワークと人事評価の組み合わせは、使い方を間違えると危険な作用をもたらすことになります。

アウトプットだけで人を評価するのは、「人」を「機械」として扱っているのと同じだからです。人はロボットではありません。

そうなれば、従業員は、分かりやすく結果の見えやすい仕事だけをやりたがるようになり、結果の評価されにくい業務はやりたがらなくなるかもしれません。

組織で物事を進めていく際は「すきま業務」というものが必ずあります。テレワークはただでさえ人間関係が疎遠になりがちです。そのような環境下で極端な成果型評価を進めることは、一時的には結果が出るように見えるかもしれませんが、長期的には中で働く人の疲弊を招き、組織全体の力という意味では必ずしもプラスにならないという懸念があります。

もちろん、働き方が変わるわけですから、人事評価のやり方も見直していく必要はあるでしょう。しかしながら、極端な成果重視に偏らないようにすることもまた、必要です。

4.人間関係・信頼関係

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実は、ここまでの1~3以上に、テレワークを継続的に進めていくのであればこの「人間関係・信頼関係」というところが非常に重要になってくるでしょう。

コロナ前にもテレワークを導入している企業もありました。

しかしながら、撤退する企業も少なくありませんでした。それは、1~3のような技術的・制度的な理由ではなく「コミュニケーション」上の課題からでした。

yahoo、IBMなどの企業でも、コロナ前は在宅勤務制度は推奨していなかったという事例があります。理由は、雑談や何げない会話が、業務遂行上非常に重要であると考えられていたからと言われています。

「何をするか」より「誰とするか」

というフレーズはあまりに有名ですが、この「誰とするか」をはぐくむには、一見の業務と関係ないところでの何気ない雑談や意味もなく顔を合わせる回数が果たす役割がとても重要でしょう。

インターネット上の書き込みで炎上するものの多くは「匿名の書き込み」です。

テレワークの導入で、従業員同士の関係が疎遠になれば、人間関係がぎすぎすしていくことが想定されます。信頼関係のないチームがいい結果を出せるわけがありません。目先の生産性が向上したかのように見えても、長期的には信頼関係や人間関係の崩壊からくる生産性低下の問題があらわれてくるでしょう。

緊急事態宣言発令直は、好むと好まざるとに関わらず急遽テレワークを導入せざるをえず、そのための物理的環境を整えなければならない状況にありました。コロナ前に在宅勤務を非推奨としてきた企業も同様です。以前の経験をどのように活用していくのかが注目されるところです。

以前から在宅勤務制度を導入し、上手に運用してきた企業では、場所は離れていても心は離さないための仕組みの工夫がされてきました。たとえば、雑談が発生するような工夫や、自律性と信頼関係が構築されるまで1年間は出社勤務とし、その後段階的にテレワークに移行する、フル在宅でなく、日数を設定する、などです。

現在の状況ではできることとできないこともまりますし、今後も元のような「フル出社」が求められる働き方は変わっていくでしょう。しかしながら、今後継続的に運用していくのであれば、物理的距離が離れた状態でどうやって信頼関係を構築していくのか、という工夫が重要になってきます。

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