36協定について、「起算日を変更したい」というご相談をいただくことがあります。
・これまでは4月〜3月を単位としていたけれど、1月〜12月にしたい
・各支店の36協定の日付がばらばらだったものを統一したい
このような場合、どのように手続きをすればよいのでしょうか。
結論として、36協定の起算日は変更可能です。ただし、36協定は途中で内容を変更できないため、変更後の起算日で新たな36協定を締結し直す必要があります。移行期には新旧両協定が重複する期間が生じ、それぞれの期間で労働時間の上限を守る必要があります。
そもそも36協定とは何か
36協定(=労働基準法第36条に基づく時間外・休日労働に関する協定)は、使用者と労働者の代表が締結し、労働基準監督署に届け出ることで、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える時間外労働や休日労働を可能にする協定です。36協定を締結していない状態で残業させると労働基準法違反となります。
起算日とは何か
36協定の起算日(=対象期間の開始日)は、月ごとの時間外労働の上限(原則45時間)や年間の上限(原則360時間)を管理するための基準点です。例えば「4月1日起算・1年有効」の36協定であれば、4月1日〜翌年3月31日が管理対象期間となります。
36協定の起算日はどうやって変更するか
36協定は、有効期間の途中で内容を変更したり、協定を破棄したりすることができません。そのため、変更後の起算日から1年間を有効期間とする新しい36協定を締結・届出することで対応します。
具体的な変更手順(4月→1月への変更例)
「4月〜翌3月」の起算日を「1月〜12月」に変更したい場合の手順は以下のとおりです。
1.2026年4月〜2027年3月までの36協定を締結・届出する(変更前の最後の協定)
2.2027年1月〜2027年12月までの36協定を締結・届出する(変更後の最初の協定)
※2027年1月〜3月は①と②の期間が重複する
3.2028年1月〜2028年12月までの36協定を締結・届出する(ここから完全な起算日変更が完了)
重複期間の上限管理に注意が必要
①と②は2027年1月〜3月の3か月間が重複します。この重複期間については、①の協定と②の協定それぞれの期間内において、年間の時間外労働の上限(原則360時間)・特別条項の発動回数(年6回)などの条件を、それぞれ独立して守る必要があります。
つまり、重複期間中の残業時間は2つの協定の両方のカウントに入ります。この点を見落とすと上限オーバーになるリスクがあります。
図にすると以下のようになります。

有効期間を1年より短くすることはできないか
「重複期間を避けるため、新協定の有効期間を1年より短くできないか」というご質問をいただくことがあります。結論としては、実務上は困難であり、1年単位で締結する必要があります。
その理由は以下のとおりです。36協定には、時間外労働の年間上限(360時間)や特別条項の発動回数(年6回)など、「年」を単位として定める必要のある数字があります。1年より短い期間で締結した場合、何時間を上限とすればよいのか、期間で按分する等の法律の定めがないため、年間の上限時間を適切に判断できなくなります。
実はこちら、労働基準監督署の回答もぶれる場合があります。「受理はできるんだけど、、、」等のもごもごした回答が返ってくる場合もありますが、実務運用ができないこと、または提出時に窓口で返戻される可能性が高く、何かしらの指導の対象にはなりえます。
ですから、実務上は「1年単位」で締結するのが原則です。
36協定の届出に関する手続き
36協定の届出先は、会社の所在地を管轄する労働基準監督署です。窓口持参・郵送のほか、e-Govを使った電子申請も可能です。
起算日を変更する場合、旧協定の満了日と新協定の開始日の間に空白期間が生じないよう注意してください。空白期間中に時間外労働をさせると、36協定のない状態での労働基準法違反となります。
よくある質問(FAQ)
Q.36協定の起算日変更を今の協定期間の途中でしたい場合はどうすればよいですか?
A.現行の36協定の有効期間を途中で変更することはできません。現行協定が満了するのを待って、次の更新のタイミングで新しい起算日で締結し直すか、前述のような重複期間が発生する形をとってください。
Q.重複期間中の時間外労働はどちらの協定の上限にカウントされますか?
A.両方の協定にカウントされます。2027年1月〜3月の重複期間中の残業時間は、①の協定と②の協定の両方の年間上限に算入されます。この期間は残業時間の管理を特に慎重に行ってください。
Q.支店ごとに別々の36協定を結んでいる場合の起算日統一はどうすればよいですか?
A.支店ごとに個別の36協定を締結している場合は、各支店ごとに本記事で説明した手順で起算日を変更する必要があります。統一したい起算日に合わせて、支店ごとに順次変更手続きを進めることになります。
Q.36協定の届出はe-Govで電子申請できますか?
A.できます。e-Govを使った電子申請が可能です。当事務所では36協定の作成・届出代行も承っています。まずはお気軽にご相談ください。
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