【賃金】その手当、必要ですか?

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【賃金】その手当、必要ですか?

賃金の構成

(賃金の構成)
第@@条 
賃金の構成は下記とする

■基本給
■手当
 ・家族手当
 ・通勤手当
 ・役付手当
 ・技能・資格手当
 ・精勤手当
■割増賃金
 ・時間外労働割増賃金
 ・休日労働割増賃金
 ・深夜労働割増賃金

※厚生労働省モデル就業規則より。

その手当、必要ですか?

あなたの会社の給与には、どんな手当がありますか?

給与明細を拝見していると、手当の種類が多いものによく出会いますが、その手当の目的はなんでしょうか?

お話を伺うと「手当を増やした方が得だっていうから」「なんとなく、よその会社がそうしてるから」など、明確な回答がないことが多いです。中には、モデル就業規則に書いてあるから、これが標準的なものだと思い込んでそのまま設定しているケースも。

手当は、そこに明確なポリシーがなければあまり意味がありません。基本給1本にできるならその方が扱いやすいというのが私の考えです。給与計算その他、事務手続上煩雑かつ、余計な考慮すべき事柄が増えるばかりです。

手当を増やした方が得?

基本給を低くして手当を増やした方が得だという意見についてよくお話を伺うと、インターネットや外部コンサルタントからの助言として次のように勧められた、というケースがあります。

■残業代を低く抑えられる
■給与を簡単に増減できる
■社会保険料を低く抑えられる
■賞与、退職金を低く抑えられる

手当に分割すると残業代を安く抑えられるのかどうか

残業手当という意味ではあまりメリットがないとお考えいただいた方がよいかと思います。

確かに、下記の手当については残業代算出の際の割増賃金算定の基礎から除いてもよいこととされています。

■家族手当・扶養手当・子女教育手当
■通勤手当
■別居手当・単身赴任手当
■住宅手当
■臨時の手当

逆に言うと、これ以外の手当については全て割増賃金の単価に含むということです。
役職手当、歩合給、インセンティブ等も割増賃金の単価に含まれますのでご注意ください。

また、割増賃金から除いてよいとされるものについても、除くことができるのは、家族の数、交通費、距離や家賃に比例して支給されるもののみとなります。

「通勤手当」「住宅手当」という名前でも、従業員に一律支払われるものについては割増賃金の単価に含める必要があります。

住宅手当、の名目で地域ごとに一律に額が定められている場合も割増賃金の単価に含まれますのでご注意ください。(東京都は@@円、など)

そう考えると、手当の数を増やしたところで、残業手当抑制という意味ではあまり影響がないことがお分かりいただけるかと思います。

給与を簡単に増減できる

手当の名目で基本給と分けてオプションにしておけば、簡単に給与を増減できるのではないか、ということです。

半分はそのとおりであり、半分はそうではないといえるでしょう。

例えば「営業手当」などであれば営業職の従業員が人事部に移ればその分の営業手当がなくなるということも納得感があるでしょう。

しかし「役職手当」などの場合は、そもそもその役職変更の基準が何なのか、恣意的な人事異動ではないのか、等がしばしば問題になります。一方的給与の減額として不利益変更の問題が生じる可能性があります。

本人のモチベーションアップやキャリア支援という意味で役職手当を活用することは有用だと考えますが、簡単に減額させるための手段として手当を使うことを想定するのであれば、これも現実的ではないでしょう。

社会保険料を抑えられる

これも都市伝説です。

社会保険料は、基本給についてのみかかるものではなく、労働の対価として支払われるもの全てについて対象となります。分かりやすく言えば「給与」として支払われるものは全て対象になるとお考えいただくのがよいでしょう。手当を増やしたからといって保険料額が増減するものではありません。

賞与・退職金を低く抑えられる

これも半分はそのとおりであり、半分はそうではないともいえるでしょう。

賞与の規程・退職金の規程の決め方によって対応は可能です。

支給額を決める際に、基本給のみに係数を乗じるような場合であれば確かに基本給を抑えた方がよさそうですが、それであれば乗率を設定する際に、その分乗率を抑えるよう工夫して設計することも可能です。

ですから一概にこれも当てはまるものとはいえないでしょう。

では、どんな時に手当を活用できるのでしょうか?

あなたの会社では、従業員にどのように活躍してほしいのでしょうか?
どんな従業員に報いたいのでしょうか?
従業員はどんなことにモチベートされ、それを支援したいと考えているのでしょうか?

従業員とその家族との両立を支援したいのであれば、「家族手当」の充実をはかることを検討できるでしょう。しかしこの場合、家族がいない従業員との均衡や独身社員のモチベーション向上に工夫を行う必要があるかもしれません。

業務の都合上、資格保持者を優遇する必要があるような職場でしょうか?建設業の許認可取得や、IT業界にて資格保持によって案件の獲得に有利になるケース等、資格者が必要なケースなどです。このような場合は「資格手当」等で、資格をもっていることそのものを会社に対する貢献として優遇することもできるでしょう。

役職を与えることでモチベーション管理を行いたいのであれば、まずは何をしたらどんな役職が与えられるのか、人事制度と評価の仕組みを整えることが必要でしょう。そうでなければ、ともすると役職の付与が年功序列になってしまったり、評価そのものへの不公平感から、かえって実力のある従業員のモチベーションを下げることにもなってしまいます。

「精勤手当」も形骸化しているケースが多くみられます。もし遅刻、欠勤等の勤怠を管理したいのであれば、その分を賃金控除するという方法もあります。働いていない分の賃金を控除することはノーワークノーペイの原則といって、問題にはなりません。遅刻の回数等を賞与の評価項目とすることも可能でしょう。

手当の設定には会社のポリシーが反映される

手当は、@@削減というマイナス査定目的でなく、人材活用という観点からみれば有効活用できるものです。

どんな従業員にどんな風に活躍してもらいたいのか、この会社で働くことによってどんな人生を送ってもらいたいのか。一緒に考えてみませんか?

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