テレワークでの労働時間の記録が必要な5つの理由

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テレワークでの労働時間の記録が必要な5つの理由

テレワークは「勤務する場所」がこれまでと異なるというだけであって、それ以外のことについて考慮すべきことや法令上守らなければならないことはオフィス出勤のときと同じです。

むしろ、離れた場所で勤務するが故に、通常より気を付けなければならないことの方が多くなります。

労働時間の管理についても、テレワークでも労働時間を記録、管理することは重要です。

理由は以下の5つです。

労働時間について、客観的な方法で記録する義務がある

テレワークでの労働時間の記録が必要な5つの理由

会社は、従業員の労働時間を客観的に記録することが義務付けられています。(労働安全衛生法第66条の8の3)

具体的な方法は下記です。

・タイムカード
・パソコンのログインからログアウトまでの時間の記録
・社長や上司による現認(直接目で見て確認すること)

これらの方法によって、労働者の労働日毎の出退勤時刻や入退室の記録を把握しなければなりません。

労働時間の把握は、みなし労働時間制、裁量労働制、管理監督者の場合も必要となります。

「残業代払わなくていいのにどうして労働時間を記録しなければならないのか?」

それは労働時間把握の目的は残業代支払だけでなく「健康管理」にもあるからです。長時間労働等による健康障害を防ぐことが必要だからです。

どうしても上記手段による記録が難しいこともあるでしょう。「やむを得ず客観的な方法により把握しがたい場合」は「自己申告」による把握も認められています。しかしこれが許されるのは、直行直帰などで勤務時間の記録が本当に難しい場合のみであり、直行直帰でも、社内システムにアクセスが可能であるような場合は、自己申告による把握は認められていません。

テレワークであれば、業務についてはパソコンを使用して社内システムにアクセスして行うことが想定されます。ですから、自己申告による把握が認められる例には該当せず、客観的な方法で記録することが必要となります。

と考えると、クラウド勤怠システムなどを活用して労働時間を記録するのが現実的でしょう。
パソコンの使用時間を元に労働時間を算出するのは、分かりにくく手間暇もかかるため現実的とは言い難いでしょう。

賃金台帳への記載義務がある

労働基準法上、賃金台帳には次の内容について記録する義務があります。

・労働日数
・労働時間数
・時間外労働、休日労働及び深夜労働の労働時間数

これらについては、3年間の保管義務があります。

労働時間を記録しておかなければこれらを記載することもできませんから、管理が必要となることは言うまでもないでしょう。

未払賃金対策

テレワークでの労働時間の記録が必要な5つの理由

労働時間を管理しなければ、賃金の計算ができません。

「うちは残業代込みだから」
「みなし残業だから」

というような場合は注意が必要です。

みなし残業代を支給している場合でも、現実の労働時間から計算される残業手当がみなし残業代の額を超える場合は、差額を支払う必要があります。

ですから、みなし残業制を導入している場合でも、毎月の労働時間の記録や残業代の計算は必要なのです。

労働時間の記録を行っていなかった場合、もしも従業員から「未払賃金」を請求されるようなことがあっても従業員側の主張と戦うことができなくなってしまいます。会社側に労働時間を証明する記録がないわけですから。

テレワークでは従業員の働いている様子が見えません。ですから、一方的な労働時間の主張をされてしまったら、会社としてはオフィスで働いている場合よりも証明が非常に困難になります。

ですから、会社を守るという意味でも労働時間の管理は必要となります。

長時間労働対策

テレワークでの労働時間の記録が必要な5つの理由

労働安全衛生法上、月の時間外労働時間が80時間を超えた場合は本人に通知すること、そして本人が希望した場合には医師の面接指導を受けさせることが義務付けられています。

テレワークにおいては「さぼり」を心配する声が上がる一方、「働きすぎ」を懸念する声もあがっています。時間と場所の制限がないため、まじめな従業員ほど、成果などを求めて過重労働に陥ってしまいがちがだからです。

このような状況に早く気づき、予防策を講じるためにも、労働時間の把握は必要といえます。

メンタルヘルス不調対策

テレワークでの労働時間の記録が必要な5つの理由

長時間労働対策としての労働時間の把握が必要なのは先に述べたとおりですが、メンタルヘルス不調対策としても労働時間の管理は必要です。

・うつ病予防
睡眠時間とうつ病には関連があるというデータがあります。メンタルヘルスを良好に保つ、および脳血管疾患を防ぐためには、睡眠時間は少なくとも6時間以上確保することが望ましいと言われています。

労働時間が長くなればなるほど睡眠時間を適切にとることができなくなります。ですから会社としては睡眠時間を阻害しないような労働時間の設定を行う必要があります。

時間外労働を1日4時間行うと、睡眠時間6時間、5時間行うと睡眠時間5時間になるとも言われていますので、参考にされるとよいでしょう。

・メンタルヘルス不調の早期発見

メンタルヘルス不調の初期兆候として「勤怠の乱れ」が起こることがあります。
特に休み明けの欠勤、遅刻等がこれまでより増えている場合などは、早めに上司と状況を共有して声をかけるようにしたり、面談を行うというような対応をすることが望ましいです。

このような対応を行うには、日々の勤怠状況が記録され、適切に確認できる状況となっていることが必要となります。

テレワークでは、オフィスで一緒に勤務しているよりも部下や同僚の異変に気づきにくくなりがちです。だからこそ、従業員ケアの手段としても、勤務時間の管理は必要なのです。

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