テレワーク(在宅勤務)会社がやるべきこと

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テレワーク(在宅勤務)会社がやるべきこと

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務を実施するケースが増えています。

在宅勤務に関する資料としては、厚生労働省から以下提供されていますので、参考になるでしょう。

テレワーク導入のための労務管理等Q&A

本来であれば、テレワーク導入にあたっては制度や運用を十分に検討・準備してから行いたいところではありますが、今回はそんな余裕もなく緊急措置として在宅勤務を導入した例も多く、あらかじめ準備してからの導入とは異なった視点が求められる部分があります。

テレワークの3タイプ

大まかにいえば会社から離れたところで作業を行うこと「テレワーク」「リモートワーク」と言いますが、その中でも以下の3つのタイプに分けることができます。

■在宅勤務
■自宅周辺でサテライトオフィス等を契約してそちらで業務を行う
■カフェ等でのノマド作業

今回のコロナウイルス対策として行われたテレワークは「在宅勤務」がメインとなっています。何故なら、今回のテレワークの目的は「人と人との接触を避けること」だからです。

制度面(法的側面を含む)の注意事項

まずは、在宅勤務に関する制度面の課題を考えてみましょう。

■労働契約上の問題
就業規則に在宅勤務についての規定がなくても、本人との合意があれば在宅勤務は可能です。
労働基準法上は、入社時に就業場所を明示する必要がありますので、在宅勤務を命じるのであれば、就業場所として自宅を明示する必要があります。就業規則、労働条件通知書等で、「その他」などと記載されている場合は、「その他」でカバーされていると考えることも可能と言えなくもないですが、会社が在宅を命じる場合、または、本人事情により在宅勤務を希望する場合、どちらの場合も、まずは双方合意をとりましょう。

また、当初緊急措置としてはじめたテレワークだとしても、コロナウイルスの影響は長期間にわたることも想定されます。また、コロナウイルスが落ち着いたとしても、在宅勤務そのものは広がっていくでしょう。これを機に、間に合わせのテレワークから本格導入の検討をされるとよいでしょう。

■労働時間管理
在宅勤務であっても、労働基準法に基づく労働時間の管理は必要です。

労働時間管理の方法には2種類あります。

1)事業場外みなし労働時間制を適用する場合

労働時間を算定しがたい場合に一定時間勤務したとみなす制度のことです。
リモートワークにおいては厚生労働省から次の2つの基準が示されています。

・情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと
・随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと

リモートであっても上司から随時指示を受けたり、上司からの指示に応じて作業しなければならない場合は、基本的には当てはまらないと考えた方がよいでしょう。

また、チャットなどのツールで常につながった状態で作業する場合も含まれないということになります。

2)通常の労働時間制度を適用する場合

勤務開始、終了、中抜け時刻等を随時報告して労働時間管理を行うこととなります。

今回の緊急在宅勤務については、こちらがメインになると想定されます。何故なら、完全に上司や会社からの指示から離れて業務を行うという人は非常に限られると想定されるからです。

大多数のケースでは、チャット、web会議その他のツールを駆使して、リモートでありながらも双方向にやり取りしながら業務を行うことになるでしょう。

以降は、通常の労働時間制度を適用した場合を想定して記事を進めます。

労働時間管理における注意点

 

今回の在宅勤務の特徴は、「家に家族や子どもがいる状態で業務を行う」という点です。

通常の在宅勤務であれば、仕事場は自宅でも業務に集中することが可能ですが、子どもがいる状態で、通常の雇用契約上の労働時間と同じ条件で勤務をすることは難しいことがあります(お子さんの年齢、家族の状況によって異なります)。

したがって、今回の在宅勤務においては、就業規則や雇用契約上の労働時間の定めにしばられずに、
「在宅勤務」×「勤務時間の繰り上げ繰り下げ」
「在宅勤務」×「複数中抜け時間の許可」
「在宅勤務」×「時短勤務の許可」
「在宅勤務」×「ゆるフレックス制の活用」(※)
等の柔軟な対応を行うことが求められます。

※officeroleが独自に命名したものであり、労働基準法上のフレックスタイム制とは異なります。労働時間について、週40時間、1日8時間を超えない範囲で柔軟にやりくりを可能とするものです(運用詳細はご質問ください)。

労働時間の記録・報告の必要性

在宅勤務であっても勤務時間の管理はきちんと行うことが必要です。勤務開始、終了、中抜け等の時間について、チャットその他のツールで共有しましょう。これは、従業員を管理するためだけではありません。理由は次のようなものです。

■給与計算の元となる労働時間を把握するため
これはいうまでもありません。柔軟な労働時間の運用を行う際には、遅刻早退時間や中抜け時間の取り扱いなど、給与計算の基礎となる労働時間の算定に影響を及ぼす場合があります。

■従業員の作業をフォローするため
在宅勤務では、従業員の「サボリ」を心配する声がある一方、頑張りすぎてしまう従業員のオーバーワークも心配されています。姿が見えないからこそ、姿が見えている時よりもきちんと労働時間に関して把握し、フォローできるようにするためです。

■従業員自身のメリハリのため
自宅での作業については仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。勤務時間の報告を行うことによって、時間の使い方にメリハリをつくることにもなります。

■従業員同士が誰が現在ONなのか、OFFなのかがわかるようにするため
テレワークにおいては、誰がONなのかOFFなのかが明確であることは業務効率に大きな影響をもたらします。何故なら、そばにいればすぐに声をかけて解決できることが、そばにいるかどうかが目に見えないからです。ONだと思って問いかけをしたけれど、返信がなく、いつが戻りかも分からない、実は相手は半休だった、というような状態は業務の停滞を招きます。互いのスケジュールや勤務状況を共有することによって、周囲にとってもそれに合わせたスケジュールに基づく作業が可能になります。

労働時間記録の方法

■クラウドによる時間管理ツールの活用

一番のおすすめは、クラウドツールの活用です。
例えば、次のようなツールがあります。

KING OF TIME
複雑な労働時間管理制度にも対応可能です。将来的に勤怠管理システムの導入を考えてる場合にはおすすめです。
デメリットとしては、複雑な設定に対応できるが故に、初期設定が大変です。

ジョブカン
複雑な労働時間管理がない場合は、初期設定が比較的簡単なのでおすすめです。

マネーフォワードクラウド勤怠
マネーフォワードクラウド給与や会計をご利用の場合は、こちらも検討してみるとよいでしょう。

緊急時にはツール選定の時間も限られると思いますので、厳選した3つをご紹介しました。

勤怠管理システムの設定は、きちんとやるのであれば、多大な時間と労力が必要となる非常に難しい作業です。今回はひとまず、詳細な勤務時間の設定はさておき、勤務時間の「記録」にとどめるなどのミニマム導入から始めてみるのがよいでしょう。

※長期的にきちんと設定、導入したいという場合はご相談ください。

■エクセル等による時間管理
クラウドツールを利用しない場合でも、エクセルによる勤務時間記録など行う必要があります。

その他

■在宅でも、着替える。
在宅であっても、着替えることによってONとOFFとの気持ちの切り替えができます。

■ご家族への配慮
従業員が集中して業務を行うことができるためには、ご家族の協力が必須のものとなります。家にいるんだけど遊んでいるわけではなく「業務を行っている」ということについて、家族への説明と理解を求めましょう。場合によっては、会社から文書を出してあげると、ご家族に説明しやすい、またはご家族も受け入れやすいかもしれません。

■作業時間と作業場所の宣言
従業員の皆が必ずしも書斎のような専用の作業場所を持っているとは限りません。緊急在宅勤務においては、家族共用の居間のようなところで作業しなければならないことも想定されます。作業時間と作業場所を決めて、家族に宣言しておきましょう。

■業務に関係のないコミュニケーションが取れるようにしておきましょう。
在宅勤務が長引くにつれて、孤立感を感じる従業員が出てきています。また、業務に関係のない雑談ができる関係を保つことは、業務の円滑な遂行に役立ちます。業務以外のコミュニケーションを図ることができるような工夫をしましょう。

専用のツールを導入できればよいのですが、既存のツールの中で「雑談チャット」「ありがとうチャット」のようなトークルームを活用している事例もあります。その他、週1回はweb会議で進捗確認を兼ねた顔合わせを行うなど。

在宅勤務成功のカギは、制度やツール以上に、信頼関係の構築とコミュニケーションの活性化にあります。

物理的な場所が離れた状態でよい人間関係が保たれるような工夫が求められます。

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