産前産後の休業
(産前産後休業) 第@@条 1. 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性労働者から請求があったときは、休業させる。 2. 産後8週間を経過していない女性労働者は、就業させない。 3. 前項の規定にかかわらず、産後6週間を経過した女性労働者から請求があった場合は、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることがある。 |
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(育児時間及び生理休暇) 第@@条 1. 1歳に満たない子を養育する女性労働者から請求があったときは、休憩時間のほか1日について2回、1回について30分の育児時間を与える。 2. 生理日の就業が著しく困難な女性労働者から請求があったときは、必要な期間休暇を与える。 |
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※厚生労働省モデル就業規則より。
実はよく考えられている産前産後の女性保護
モデル就業規則の内容は、労働基準法上の女性保護の決まりと同じもので、多くの会社の就業規則はほぼ同じ内容になっているのではないでしょうか。
このきまりを初めて知ったときは、ただそういうものか。という感じだったのですが、自分で妊娠出産を経験してみたところ、非常によく考えられているなあと感じました。
産前
産前6週間は、本人が請求したらその人を働かせてはなりません。
確かに産前6週間は、いつ生まれてもおかしくない状態ですから、請求したら休ませる必要があります。しかし一方で、ぴんぴん元気な妊婦さんの場合は、出産ぎりぎりまで動いていても全く問題がない場合もあり、非常に個人差が大きいところです。ですから、休む必要があるかないかは、本人の判断にゆだねて、請求があったら休む権利を与えるというのは妥当なところかと思います。
産後
一方で、産後8週間は、本人の意志にかかわらず働かせてはならない「就業禁止」期間です。
日本では昔から「床上げ」などといって、産後1ヶ月くらいは養生させるという考え方がありました。出産時には骨盤が最大限に緩んで開きます。この時期に動いて無理をすると、開いた骨盤が元に戻らなくなり、更年期にわたって影響を及ぼすということです。
実際に出産してみると、産後6週間くらいは実際に骨盤があまりに緩んでおり、歩くのにも下半身がぐらぐらしているのが分かりました。この時期は確かに、養生することが必要なのです。
そして8週間くらいあると、少しずつ歩くのにも安定感が出てくる実感がありました。
産後6週間と8週間、たまたまの数字ではないのです。
育児時間
1日について2回の育児時間、というのは、授乳を想定されています。だからここは「女性労働者」に限定されているのですね。しかし、母乳だけでなく、ミルクでもよいわけですから、女性だけでなく男性にも認めてもよさそうなものですが、現行法はこうなっているということです。会社独自に男性も取得可能にすることを検討してもよいかもしれませんね。
生理休暇は有給か無給か
生理休暇については、有給か無給かは問われていませんので、無給にするならば明記しておいた方がよいでしょう。労働者の側が有給だと思い込んでいる場合があります。
生理休暇については、それが本当なのかどうか、周囲の人からは確認しにくいものです。有給にして福利厚生を図る考え方もあるかもしれませんが、無給にした方が、不正や安易な取得を抑制できるという考え方もあるように思います。有給にするのであれば、必要な期間の全てを有給にするのか、1日分だけを有給とするのか、等も決めておく必要があるでしょう。
どのような運用に決めるとしても、就業規則上で明記した方がよいでしょう。